ダイジェスト No.16 Re.n 凛

2009年チェアーズ作品ダイジェストもいよいよ終わりに近づいてきました。
ラスト前の16番目は私、高須博明(タカスヒロアキ)の Re.n 凛 です。

この作品は私がチェアーズに参加して2年目の2001年に出展した椅子をリメイクしたものです。
普段はある家具メーカーで家具のデザインを生業にしていますが、実は私の専門は食器棚や書棚
のような、いわゆる「箱物」と呼ばれる家具が中心でした。チェアーズの初期のころの出展作品
には、少々未完成のまま出してしまったものもあり、どこかのタイミングで作り直したいと考えて
いました。2001年に出展した椅子がこれです。

構造はいろいろ凝ったことをチャレンジしたつもりでしたが、ディテールや寸法の検討が甘く
何よりも座りにくくまた重いので、だれも座りたがらす、展示会後は自宅の隅でずっとホコリを
かぶっていました。リメイク後がこれです。

コンセプト

フォーマルな花束のように凛とした後ろ姿のパーソナルチェア。


GIFTというテーマにはちょっとこじつけの様なコンセプトですが、デザインのテーマはダイニング
チェアの顔ともいうべき後ろ姿がきれいな椅子です。
フォーマルな場所での花のイメージを柔らかい曲線と稜線の通ったシルエットで表現しました。
もう1つ、リメイクということで、あらためて普段使いのできる椅子として命を吹き込みたいという
大げさなコンセプトも兼ねていたりもします。

「凛」はちょっと変な形をしているので、デザイン優先で機能は2の次の椅子というように思われる
かもしれません。作者としてはどちらかというと機能が先で、デザインに落とし込む段階で、できる
だけ機能のイメージを消すような手法で形にしてみたつもりです。

たとえば「凛」はデザインは肘掛け椅子なのですが、実は肘掛け椅子として使うと、肘置きはあまり
しっくり機能してくれません。どちらかというと立ち上がる時の補助的な位置に掌が置けるように
稜線をつなげてあります。


肘置が機能しない大きな理由は後脚と対照的な曲線でラウンドしてくる肘掛けの形にあります。
前脚と後脚をつなぐ貫の位置や太さ、数は椅子の強度を決める重要な要素なのですが、同時にデザイン
にも大きく影響します。「凛」ではできるだけ下の方に、また見えない位置に貫を下げることで、全体の
デザインが軽く見えるようにしました。実は貫を下に下げた最も大きな理由は、背もたれをしならせて
背当たりを良くさせるためです。背もたれを固定する支点を下の方に持ってくることで、上の方が
しなりやすくなります。同時にこの背もたれの縦桟(つまり後脚)は薄く剥いだ無垢材を積層接着し
しなりに強く加工してあります。(とはいえ、後脚は構造材なので大きくしなる訳ではありませんが・・)

パーソナルチェアとしてコンパクトに、ゆったり座るための構造とデザインということで、
まずまず満足のできる完成度には到達できたと思っています。

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サイズ   W450 x D600 x H 600  SH 400
価格    販売不可

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高須博明(タカスヒロアキ)のプロフィール


職業  家具・プロダクトデザイナー
    
プロフィール
1964 年 愛知県出身
     家具メーカー勤務

連絡先 
    〒444-1322 愛知県高浜市二池町2-7-9
    TEL / FAX : 090-3445-2462
    Mail : info@thechairs.jp
    URL : http://thechairs.jp/