ダイジェスト　No.17　低座椅子「Low-Base Chair」

2009年チェアーズ作品ダイジェスト、最後の作品は
宇賀敏夫（ウガトシオ）先生の　低座椅子「Low-Base Chair」です。

これまでチェアーズの参加者は20代から40代が中心に活動してきました。名古屋地区では
色々なデザインの先生方やプロの大先輩にも気にかけていただき、活動を通じて、様々な
ありがたいご支援をいただいてきたのですが、2009の展示会ではその大先輩中の大先輩の
宇賀先生に参加していただけました。大変ありがたい反面、主催者としては、その他の
参加者の作品の完成度や展示会の見せ方で宇賀先生に失礼になりはしないかと、ヒヤヒヤ
しましたが、全員しっかりしたモノつくりで応えてくれました。ホッとしました。

名古屋地区でデザインに従事している方にはビッグネームの宇賀先生ですが、それ以外の
方はあまりご存じないかもしれません。ということで今回は先にプロフィールをご紹介
します。

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宇賀敏夫（ウガトシオ）先生のプロフィール

職業　　家具・プロダクトデザイナー／博士（工学）
　　　　
プロフィール
　　千葉大学工短木材工芸科卒
　　名古屋工業大学大学院都市循環システム工学専攻修了（博士課程）
　　東洋プライウッド（株）開発研究室、愛知（株）開発部長を経て
　　デザイン事務所「UGA デザインプランニング」設立
　　建設省認定インテリアプランナー
　（社）日本インテリアデザイナー協会監事、中部デザイン協会理事　
　　第17 回世界インテリアデザイン会議（IFI95 ’名古屋）事務局長
　　元愛知文教女子短期大学デザイン美術科教授
　　現在迄通産省グッドデザイン賞認定（Gマーク）6種

連絡先　
　　　　〒463-0011 名古屋市守山区小幡三丁目25-1
　　　　TEL ＆FAX （052）791-9461

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名古屋のデザインの発展にあらゆるご尽力をされて来た大先生なのです。そんな宇賀先生が
現在取り組んでいるのが、高齢者向けのプロダクト。病院の待合室のソファーの研究では
その分野で博士号の取得までされるほどパワフルに活動されています。

そして、今回のチェアーズの出展作品も高齢者向けのギフトということで、圧巻の作品を
出展いただけました。

コンセプト

高齢化が進んで高齢者が多くなってきました。2015 年には日本の人口の
25％は65才の高齢者になると予想されています。脚力の弱った高齢者に
とって、椅子の座高の寸法と座角は座り心地に大変影響を与えます。
さらに椅子に着座したり、立ち上がる動作を楽にするには、肘付き椅子が
重要な要素です。そこでこの提案した「低座椅子」は座高が330mmと低く
肘付きの上に、畳やじゅうたんの上に置かれても跡がつかないように、
脚部に畳ずりが付けてあり、狭い空間にも軽くて自由に置ける高齢者の
イージーチエアと言えましょう。

座るという行為に対して、様々な角度からデータを取り続けられた結果が、裏付けされて
います。人間工学（エルゴノミクス）という分野の取り組みは、見た目のデザインと機能や
寸法が生み出すデザインを融合させることが非常に難しく、ともすると外観のデザインが
犠牲になりがちなのですが、宇賀先生の椅子はさすがというよりありません。
後ろからのプロポーションもきれいです。

形自体が高齢者の方が見て安心できる安定した形をしているのでしょう。実際に展示会に
来場された高齢者の方にはほぼ100％に近い支持がありました。コンセプトも高く評価
される方が大多数で、立ち上がり方の具体的なイメージと畳の部屋に置かれるための形が
直感で理解できることに、高齢の方のみならず若い方も大変人気がありました。

チェアーズの作品展はどうしてもデザイン優先のモノに傾きがちな傾向があるのですが、
今回、宇賀先生にご参加いただきたことで、他の参加者にも違った側面からのモノ作りの
視点が芽生えたのではないかと思います。検討され尽くしたコンセプトとデザインがもつ
説得力やそのモノ自体が存在する理由のようなものを改めて考えさせていただく、よい
機会となりました。

宇賀先生、ありがとうございました。

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サイズ　　　W670　x　D500　x　H　730 　SH　330
価格　　　　68,000円

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