ダイジェスト No.9  fiore(フィオーレ)

2009年チェアーズ作品ダイジェスト 
9番目は松久剛(マツヒサツヨシ)さんの fiore(フィオーレ) です。

松久さんは某ホームファッション向けの家具メーカーに勤める家具デザイナーで
コンセプチュアルなデザインとモノつくりに対するまじめな姿勢が魅力です。
普段の仕事では座椅子をメインに、張りぐるみの椅子のデザインが多いのですが
チェアーズでは毎回新しい分野に意欲的に取り組んでくれます。
木製ベンチ、パーソナルチェアそして今回のスツールといった具合に、アイテムも
さることながら、無垢材、成形合板、ウレタンフォームなど初めての素材でも抵抗無く
大変器用に使いこなします。
この辺りにもモノつくりに対するまじめさが感じられます。

今回のfioreも単純なスツールではなく、GIFTについての新たな提案がデザインと
構造に実にうまく組み合わされたものになっています。

本人によるコンセプト

ギフトを贈るという事は相手への気持ちを贈る事だと思います。
特に花を贈る時には「ありがとう」の感謝の気持ちであったり、
「大好きです」という相手への愛情であったり、様々な気持ちを
花と一緒に贈ります。
しかし生花はどうしても寿命があり、一生形を残す事はできません。
そこで花をモチーフにした、一生大切に使っていただけるような
椅子をデザインしました。

「花を贈る事に恥ずかしさのあるあなた、こんな花(椅子)のギフトは
いかがですか?」


今回のThe Chairs Exhibition(チェアーズの展示会)ではGIFTというテーマの性格上
スツールの提案が比較的多かったのですが、松久さんの提案はモノ自体のデザインと
その使われ方に力点を置いた非常にストレートな提案です。

ギフトの象徴として「花束」をモチーフにしたその形態は誰が見ても一目で「花」と
解る単純明快なデザインです。花束に想いを込めて贈り物をするように、椅子も同じ
ように贈れたら・・というコンセプトがしっかり伝わってきます。

花束は「束」とあるように何種類もの色の花がまとめられたものです。そこで、この
fioreにも色の種類が楽しめるように花の部分を簡単に取りかえできるような構造が
採用されています。

座面をひっくり返してみると、無垢を削り出してつくった座面はドーナツのような形を
していることがわかります。このドーナツの穴を通して、裏面でボタンで着脱することで
簡単に花の色を変えることができるようになっています。

花の部分は1つ1つを縫製してつくられた丁寧な仕事です。
実はこの花の色ですが、一度全て完成した後、松久さんの想定したイメージと完成品に
微妙なズレがあったということで、全ての色を展示会前にもう一度作り直しています。
こういったデザインのこだわりが見事に反映されて、展示会では遠くからでも、一際
目を惹き、女性の来場者の方を中心に、高い評価をしていただきました。

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サイズ   大 W520 x D520(座面φ350) x H 420
      小 W520 x D520(座面φ350) x H 300

価格    大小各¥40,000

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松久剛(マツヒサツヨシ)さんのプロフィール


職業  家具デザイナー
    
プロフィール
    1980 年生まれ、岐阜市在住
    愛知産業大学産業デザイン学科卒
    The Chairs 展 Ver.07 Ver.08 Ver.09 出展
    NAGOYA DESIGNER'S WEEK 2005 2006 出展

連絡先 tuyosi-m@ccn.aitai.ne.jp